
保育園選び、子どもにとって最適な環境ってどう選べばいい?
保育園に通わせるにあたって、親としては「保育の質」がとても気になりますよね。
実は、保育の質を評価する国際的な基準があることをご存じでしょうか?
その名もECERS(Early Childhood Environment Rating Scale)。
今回は、このECERSが何か、どのように保育園選びに活かせるのかをわかりやすく解説します。
親目線で、保育環境をどう評価すれば良いかを一緒に見ていきましょう。
ECERSとは?保育の質を評価するためのツール

ECERSの目的とは?
ECERS(Early Childhood Environment Rating Scale)は、「エカーズ」と読み、子どもたちが過ごす保育環境の質を評価するための国際的に認められたツールです。
アメリカで開発され、世界中の保育現場で使用されています。
このツールは、保育園や幼稚園などの教育機関が、子どもたちにとって最適な環境を提供できているかを評価します。
ECERSは、ただの「施設の評価」ではなく、子どもたちの成長をサポートするための具体的な要素に焦点を当てているのです。
ECERSの歴史と発展
ECERSは、1970年代にアメリカで開発されました。
最初は、主に保育園の施設環境を評価するためのツールとして登場しましたが、その後、評価項目が増え、保育の質を多角的に評価できるようになりました。
現在では、世界中の保育施設で導入され、保育の質向上を目指す重要な指標となっています。
ECERSの評価基準は?具体的なチェックポイント

7つの評価項目について
ECERSには、保育環境を評価するための7つの評価項目があります。
それぞれの項目が、保育園が提供するべき環境の質をチェックするポイントです。
- 子どもの安全性
子どもたちが安全に過ごせる環境が整っているかを評価します。
例えば、施設内の危険物がないか、遊具の安全性、スタッフが適切に子どもたちを監視しているかなど。 - 遊びの環境
子どもたちが自分のペースで遊び、学びながら成長できる環境かどうかを見ます。
例えば、自由に選べる遊具やおもちゃが充実しているか、創造力を育む遊びが提供されているかなど。 - 教師との関わり
保育士が子どもたちとどのように関わっているかを評価します。
愛情を持って接しているか、子ども一人ひとりの発達に合わせた支援を行っているかなど。 - 言語とコミュニケーションのサポート
子どもたちの言語発達をサポートするための環境が整っているか。
例えば、読み聞かせや会話の機会が豊富であるか、子どもたちの発言を積極的に引き出しているかなど。 - 社会性の育成
子どもたちが他の子どもと協力して遊ぶ機会があるか、社会性を育むための環境が整っているかを評価します。 - 清潔さと衛生管理
保育園の衛生状態が整っているか、施設が清潔に保たれているかをチェックします。
例えば、トイレの清掃や手洗いの習慣づけ、食事の準備が安全かどうかなど。 - 保護者とのコミュニケーション
保護者との連携が円滑で、子どもたちの成長をしっかりとサポートしているかどうかを評価します。
ECERSの点数評価システム
ECERSでは、各項目に対して点数がつけられます。
評価は通常、1点から7点のスケールで行われ、点数が高いほど、その項目の質が良いとされます。
例えば、「子どもの安全性」について、十分な安全対策が取られていない場合は1点、十分な配慮がなされていれば7点となります。
このように、具体的な点数で評価が示されるため、保護者が保育園の質を簡単に理解できます。
ECERSを使って保育園選びに役立てる方法

見学時にECERS基準をどう活用するか
保育園を見学する際に、ECERSの評価基準を頭に入れておくと、園の質を客観的に見ることができます。
例えば、園内の遊具やおもちゃが安全で豊富か、子どもたちが自由に遊んでいるか、保育士が子どもたちとしっかりコミュニケーションを取っているかなどをチェックすることで、保育園の「質」をより明確に理解できます。
ECERSと保育園の質の関係
ECERS評価を導入している保育園は、教育・保育の質向上に取り組んでいると言えます。
評価項目をしっかりと満たしている保育園は、保育環境が整っており、子どもたちの発達にとって良い影響を与えることが期待できます。
そのため、ECERSを意識した保育園選びは、子どもにとって最適な環境を選ぶための大きな助けとなります。
ECERSと保育所保育指針の違いとは?
ECERSと保育所保育指針の目的の違い
ECERSと保育所保育指針(日本の基準)は、どちらも保育環境の質を評価するためのツールですが、その目的には明確な違いがあります。
ECERSの目的
ECERSは、国際的に使用されている保育環境評価ツールで、主に保育施設の物理的環境や子どもとの関わり方、教師の質、遊びの環境を評価します。
子どもたちが健やかに成長できるための環境を、客観的に評価することを目的としています。
国際的な視点から、保育の質を高めるための指標として機能します。
保育所保育指針の目的
日本の保育所保育指針は、政府が定めた保育施設の運営基準を示すもので、主に保育の内容や指導方法、職員の資格・態度に関するガイドラインです。
保育所が提供するべき保育内容や方針、保育の質を保障するための枠組みを整えることを目的としています。
日本国内の文化や子どもの発達段階に特化している点が特徴です。
実際の保育園選びにどう影響するのか?

ECERS基準と保育所保育指針の違いは、保護者の保育園選びにどのように影響するのでしょうか?
- ECERS基準を重視した選び方
ECERSを基準にした保育園選びは、施設や環境の質に焦点を当てます。
例えば、保育室の広さ、安全性、遊具の充実度、保育士と子どもたちとの関わり方などが評価され、子どもが過ごす空間の質が直接的に判断材料となります。
このため、保育園がECERSを導入している場合、より国際的な基準に基づいた質の高い環境が整備されていると判断でき、保護者にとっても信頼感を高めるポイントとなります。 - 保育所保育指針を重視した選び方
日本の保育所保育指針に基づく選び方では、保育内容や教育方針が重視されます。
保育士の資格や指導方法、発達段階に応じたカリキュラムなどが、保育所の選定基準となります。
このため、保護者は、保育園がどのような教育方針で運営されているか、どのように子どもたちの成長をサポートするかに注目します。
それぞれの基準は、保護者がどのような保育環境を求めているかによって、選ぶ保育園に影響を与える大きな要因となります。
ECERSの重要性と今後の展望
ECERSを導入している保育園のメリット
ECERSを導入している保育園には、いくつかのメリットがあります。
- 保育環境の質の向上
ECERSを実施することで、保育園は定期的に自らの保育環境や教育内容を見直す機会を得られます。
これにより、施設の安全性や子どもの学びやすさが向上し、より質の高い保育が提供できるようになります。 - 保護者からの信頼の獲得
ECERSを導入している保育園は、保育の質を客観的に評価し、改善するための具体的な手段を取っています。
保護者にとっては、保育の質が確かなものであると感じやすく、安心して子どもを預けることができるため、信頼性が高まります。 - 評価結果による園の向上
ECERSの評価結果は、保育園がどの部分で改善が必要かを示してくれます。
そのため、園は自己評価を行い、改善策を具体的に立てることができ、常に質の向上を目指して運営されることが期待されます。
今後のECERSの進化と期待される影響
ECERSは今後さらに進化し、より多くの保育施設に導入されることが期待されています。
- 地域別基準の導入
現在のECERSは国際的な基準ですが、地域や文化に応じた独自の基準を取り入れる動きも進んでいます。
日本の保育に合わせた改良が進めば、さらに日本の保育現場に適した評価基準となる可能性があります。 - 保育の質のさらなる向上
ECERSの導入が広がることで、世界中の保育環境の質が向上することが期待されています。
特に発展途上国や保育制度が整っていない地域では、ECERSを基にした指導や評価が効果的に機能し、子どもたちの成長をより良い形でサポートすることができるでしょう。 - 保護者とのコミュニケーションの強化
ECERSを実施することで、保育園がどのように評価されているかを親に伝えることができ、保護者とのコミュニケーションがさらに強化されると予想されます。
保護者は、園の運営方針や保育環境をより理解しやすくなり、安心して預けることができるようになります。
まとめ|親としての次のステップ
ECERSは、保育園選びにおいて非常に有用なツールです。
親としては、この基準を参考にすることで、より高品質な保育環境を選ぶことができます。
次回の保育園見学時には、ECERS評価基準を意識して、実際にどのような環境が整っているかを確認し、子どもの成長を支えるために最適な場所を選んであげましょう。